『続礼儀作法入門』山口瞳
続・礼儀作法入門 (新潮文庫) | |
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下の本の続編。
こちらは少し各論に入り、具体的な場面場面でどのように振る舞うべきかをまとめてある。
それでも細かいことは書いていないので自分で考えないといけないのだが。
こういった本は即効性はないが、じわじわと効いてくるものである。
もちろん山口のいう事を盲信してはいけない。
自分が思索を深めるときの糸口として活用すべきである。
2005.12.29記
『礼儀作法入門』山口瞳
礼儀作法入門 (新潮文庫) | |
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山口瞳と言えば将棋を好きな人なら知らない人はいないだろう。
彼がこんな本を書いているとは知らなかった。
タイトルどおりの内容で「礼儀作法」の入門といった案配。
細かいテーブルマナーがどうとかそういったHowto本ではないのでそういった使い方には向かない。
そもそも1974年から始めた連載をまとめたものなのでお金の金額などは意味をなさない。
大きくみた時の礼儀とは何かという本である。
池波正太郎の「男の作法」はかなり優れた本であったが、これもそれに及ばないながらもなかなか好著である。
一読の価値有り。
20才ぐらいで一読してからりと忘れて、25過ぎてからもう一度読むとよいかもしれない。
2005.12.28 記
『中国古典の言行録』宮城谷昌光
中国古典の言行録 (文春文庫) | |
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故事成語の解説だと思えばしっくりくるか。
中国の古典を元に句を引いて自己啓発的な解説を加えている。
宮城谷らしく扱う漢籍が幅広い。
見たことも聞いたこともないようなマイナーな書が取り上げられていたりする。
そうでなくともほとんどの漢籍は読んだことがない。
己の不明を恥じるのみである。
内容はなかなか推敲されていて読みやすい。
他の彼の自己啓発本よりもはるかに出来がよい。
「呻吟語」は機会があれば読んでみたい。
2005.12.27 記
『環境にやさしい生活をするために「リサイクル」してはいけない』武田邦彦
環境にやさしい生活をするために「リサイクル」してはいけない (プレイブックス) | |
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芝浦工業大学の教授が書いた「リサイクルは逆に環境破壊になるので即刻やめるべきだ」という本。
リサイクルをすることによって原油などの資源が余分に消費されるので逆に自然破壊に繋がるという論である。
この本が書かれたのは2000年でそれから5年経った現在では既にこのことは一般の人でもしっている常識だと思う。
こういう本は、何というか腰が浮いているものが多いのだがこれは比較的低い位置で話しているのが好感が持てる。
とはいえ後半は若干浮き気味だが。
そして冗長なのは否定しない。
一般向けの本だからなのだろうか、出てくるグラフや表がどうも吟味が足りない。
いささか飛躍しているのではと思われる箇所もある。
まあ最初の一冊としてはなかなか良い本であるとおもう。
タイトルを聞いてピンとこない人にはお薦めしてもよいだろう。
一つだけ為になったと思うのは、代替エネルギーのくだりで風力発電もエネルギー保存の法則を無視できないので、
環境を激変させかねないという考え方。
どこかで耳にしたような気はするのだが、忘れていたのでここだけはためになった。
2005.12.26 記
『古典落語100席』立川志の輔
古典落語100席―滑稽・人情・艶笑・怪談…… (PHP文庫) | |
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見開き2ページに落語のあらすじを書いてある。
あらすじのみなのでやはり実際の落語のおもしろさには遠く及ばないのだが、
エッセンスは残してあるので、噺家が話す様を思い出しながら読めば充分行間が埋まる。
それぞれの噺に解説が付いていてその広がりも面白い。
巻末には落語豆知識という用語辞典が付いている。
知っている話もちらほらあったがほとんどは知らなかった。
落語というものに固定観念を抱いていたのかもしれない。
自分の知っていた落語はほんの一部で狭い世界しか知らなかった。
この本を読んで落語というものの広い世界にふれることが出来た。
この年にもなってほとんど落語の世界にふれることなく過ごしているのはもったいないことではないだろうか。
自分の幅の狭さを知るばかりである。
2005.12.25 記
『決断力』羽生善治
決断力 (角川oneテーマ21) | |
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羽生善治という将棋界の第一人者が書いたエッセイか。
よくある自己啓発的な薄っぺらな本かと思ってあまり気にもとめていなかったのだが、
なかなか好評なようなので興味をもって読んでみることにした。
羽生の良いところはあまり飾らないところと変に気負わない所であると思う。
その羽生の言葉がストレートに現れていたといえる。
この本はやはり羽生の将棋に対する思想、技術をうかがい知る為のものであるべきだと思う。
彼の得たものは確かに万事に通ずる真理に到達しているのではないかと思うのだが、
そういった少し離れた切り口で見るよりも、将棋という切り口で見たほうが遙かにおもしろみがある。
さらに底に流れる羽生の将棋に対する深い愛というか、羽生の抱いているワクワクする感情が伝わってくる。
ここがこの本の一番の楽しみ方ではないだろうか。
借り物の知識で知った風に教育問題や政治、経済を語らない所も好感が持てる。
まあ全く無いわけではないのでそこはご愛敬ということで。
こういった類の本はくどいばかりで詰まらない本が多いがコンパクトにまとまっているので、
気の向いたときにさらっと読むのにちょうどよいだろう。
2005.12.23 記
『沙中の回廊(上下)』宮城谷昌光
沙中の回廊〈上〉 (文春文庫) | |
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士会という春秋時代の晋の兵略家を描いた中編。
新聞連載時にいくらかは読んでいたのだが途中までだったので通して読むのは初めてである。
前に読んだときにはかなり面白いと思ったのだが、
通して読むとかなりあらが目立つ。
士会の妻のエピソードはなんだか。
却って興ざめだったと思う。
じゃあ、あの占いはなんだったのかと声を大にして問いたい。
そこはまあ目を瞑るとしてもそのあとほとんど彼女の出番がないのはもったいない。
彼女は士会の心根を変える鍵だったのではないか。
もっと活躍してもよかった。
あと弗も途中から全然姿が見えなくなるのは何故。
范の邑はだしにしかなってない。
期待が大きすぎたのかもしれない。
書き出しの介子推の登場シーンの鮮やかさ。
士会の兵略の見事さ。
郤缺のさわやかさ。
それらがこの作品を形作っているとおもう。
士会自体はかなりお気に入りの人物なだけに要望が強すぎたのかもしれない。
読む価値のない詰まらぬ作品ではない。念のため。
2005.12.23 記