『沙中の回廊(上下)』宮城谷昌光
沙中の回廊〈上〉 (文春文庫) | |
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士会という春秋時代の晋の兵略家を描いた中編。
新聞連載時にいくらかは読んでいたのだが途中までだったので通して読むのは初めてである。
前に読んだときにはかなり面白いと思ったのだが、
通して読むとかなりあらが目立つ。
士会の妻のエピソードはなんだか。
却って興ざめだったと思う。
じゃあ、あの占いはなんだったのかと声を大にして問いたい。
そこはまあ目を瞑るとしてもそのあとほとんど彼女の出番がないのはもったいない。
彼女は士会の心根を変える鍵だったのではないか。
もっと活躍してもよかった。
あと弗も途中から全然姿が見えなくなるのは何故。
范の邑はだしにしかなってない。
期待が大きすぎたのかもしれない。
書き出しの介子推の登場シーンの鮮やかさ。
士会の兵略の見事さ。
郤缺のさわやかさ。
それらがこの作品を形作っているとおもう。
士会自体はかなりお気に入りの人物なだけに要望が強すぎたのかもしれない。
読む価値のない詰まらぬ作品ではない。念のため。
2005.12.23 記