『孟嘗君(12345)』宮城谷昌光

孟嘗君(1) (講談社文庫)
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講談社 1998-09-14
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読んでいないつもりだったが再読だった。
戦国時代の孟嘗君田文とその養父風洪(白圭)の生涯。
孟嘗君が生まれてから物語が始まるので当然のことながら孟嘗君を育てた風洪が主人公として話が進んでいく。
そしてこの部分が非常に長く、半分以上を占める。
それならそうでタイトルを変えるとかいくらでも方法はあると思うのだが、そうしないのが宮城谷らしい。
風洪自身が魅力的な人物であることが原因なのだろうが。
戦国の中国を秦から斉まで渡り歩くスケールの大きさはすごい。
ラストに出てくるの馮驩の設定や活躍はよいと思うが、彼は親を呼んだんじゃなかったか?
そこから判然とするのではないか。
この本で残念だったのは戦国策のにおいを消しきれなかったことだ。
あの戦国策のにおいは強烈でかつ甘美なのでそれを感じてしまうとかえって醒めてしまった。
もう少し消化してもよかったのではないだろうか。
孟嘗君よりは風洪のパートの方が面白かったなあ。
孟嘗君の方は史実が強すぎて羽ばたけなかったのだろうか。
なかなか面白い長編だったと思う。

2005.12.16 記