『青雲はるかに(上下)』宮城谷昌光
青雲はるかに〈上〉 (新潮文庫) | |
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氾雎という戦国時代後期の秦の宰相の生涯。
若い頃旧主に受けた仇を後年はらすという復讐譚である。
それだけでも充分といえるほど面白い。
無実の罪を着せられ、気分が悪くなるほど度を超えた懲罰を受け死ぬ所を奇跡的に助かる。
名を変え秦に赴き、宰相にまで上り、ついには復讐を果たす。
立志伝としても面白い。
中国はやはりスケールが大きい。
さらに宮城谷昌光らしく、女性の描写が美しい。
出てくる女性が彩りを添えている。
こういった妙味は宮城谷らしいと言える。
氾雎のさわやかさがこの作品の全体を通して駆け抜けていて、
作品を形作っている。
これも宮城谷にしか書けない作品だと思う。
好著であろう。
2005.12.10 記