『ハリーポッターと賢者の石』 『ハリーポッターと秘密の部屋』J.K.ローリング
ハリー・ポッターと賢者の石 (1) | |
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推理小説である。
と一言で片付けたいがそうもいくまい。 恥ずかしながら未だこの本を読んでおらず、また読む気もなかったが、古書店で100円で売られていたので読んでみることにした。
この作者の最大の長所はその小道具のバラエティにあるのではないだろうか。 多くの小道具が生き生きと描かれているのは素晴らしい。 是非一度しか出てこない描写の端の小道具に注目して読んでほしい本だろう。
ストーリーは推理小説そのものであり、だれが犯人かを暴いていくものである。 別に凄いとか優れているとかそのレベルではない。 また残念なことに主人公ハリーのキャラが立っていない。 周りの脇役に完全に飲まれてしまっている。 脇役の一人を改めて主人公にして外伝でも書けば飛び抜けたおもしろさを発揮できるのではないかと期待させる。 また描写力の欠如も甚だしい。 小道具の展開は素晴らしいとは述べたが、そのほかの迫力に欠ける。 リアリティがないのだ。 表面だけをなぞった感じである。 ファンタジーであるのにその描写に迫力がなければただの夢想にすぎない。 設定が綿密であるという評も有ったが、まさかという印象。 おそらく本物のファンタジーを良く知らない人の言であろうと推察する。 おもしろい。確かにおもしろいが人に薦めるほどではない。 ましてやファンタジー史には残らないとは断言できる。 他の本当の力をもった作品に淘汰されてしまうだろうと見ている。 ただし、この物語は未完であり、完結してから改めて評価されるべきであろう。 その意味で続きを読みたいとは思っている。
2005.8.1 記